知っておこう!~仕事の向き不向き~
こんにちは!スマイル先生です。
発達が気になる子どもたちやその子を支えるご家族の皆様の役に立つ情報をお届けします。
発達が気になるお子さんの保護者の方にとって、心配なことの1つが「就職」のことでしょう。「うちの子はちゃんと就職できるの?」「特別支援学級出身だと就職に不利なのでは?」と、不安に思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、発達障がいの種類別に、その特性を生かした職業についてご紹介します。
● 強いこだわりが生かされる職業
ASD(自閉スペクトラム症)の人は、「人とかかわるのが苦手」「言葉のコミュニケーションが苦手」「こだわりや興味に偏りがある」という特性があります。ですから、不特定の人とかかわる接客業や、作業手順が急に変わることがある仕事は向いていません。
通級指導教室は子ども一人ひとりの困りごとの違いによって、「ことばの教室」「きこえの教室」などの名称で小中学校に設置され、専任の先生が担当します。しかし、学校の規模や自治体によって設置状況が異なるため、在籍する学校にその子の必要とする内容の通級指導教室がない場合は、他校に通う場合もあります。
しかし、「こだわりや興味に偏りがある」という特性は、「興味があればとことんまで追求して成果を上げられる」という強みにつながります。一人で黙々と細かい作業を続けるような、正確性を求められる仕事はASDの人に向いています。例えば、工場の作業員、エンジニア、校正・校閲などはASDの人に向いている職業といえるでしょう。
また、自分の興味のあることを徹底してこだわり、追求するような仕事では大きな成果を上げられる可能性もあります。研究者、デザイナー、芸術家などもASDの人には向いているといえるでしょう。
● 独創性や行動力を生かした職業
ADHD(注意欠如・多動症)の人は、「不注意(忘れっぽい、注意力が散漫)」「多動性(落ち着きがない、おしゃべりが止まらない)」「衝動性(思いつきで衝動的に動いてしまう、待つことが苦手)」という特性があります。ですから、単純作業や集中力の必要な仕事は向いていません。
しかし、ADHDの特性の1つである「衝動性」は、「アイディアが豊富である」「行動力がある」ということもできます。ですから、アイディアや想像力が求められる仕事ではその特性を大いに生かすことが可能です。
例えば、ゲームのクリエイター、広告デザイナー、芸術家、タレントなど、個人のスキルが要求される仕事や、芸術・クリエイティブ系の仕事は、ADHDの人に向いているといえるでしょう。
● 自分の苦手を補うツールの活用
LD(学習障害)の人は、「読字障がい」「書字障がい」「算数障がい」など、特定の学習にのみ困難がありますが、苦手なことが人によって大きく違うため、一概にどのような職業が向いている・向いていないと言い切ることはできません。自分が苦手なことをきちんと把握し、それを補うツールを効果的に利用することが必要でしょう。例えば、書字障がいの場合、メモを取ることが苦手なので、ボイスレコーダーや動画撮影など文字以外の方法で記録を取る方法が有効です。また、計算が苦手でも、電卓やExcelを使えばスムーズに仕事をすることができます。このように工夫することで、一般企業でも十分活躍することができます。できないことで仕事の幅を狭めるのではなく、どう工夫すればそれを補うことができるのかを考えることが大切です。
● 就労支援を活用しましょう
発達障がい者支援法の成立により、発達障がいのある人が自立して生活し、働くための支援の輪が広がりつつあります。就労を支援するため、さまざまな専門機関や民間団体が連携し、その特性に合わせた支援や就労の機会を確保することが求められています。また、発達障がい者向けの就労支援サイトや、発達障がい者を積極的に採用している企業も多くあります。
大切なのは、何が苦手で何が得意なのかを職場の人に理解してもらうことです。そうすることで発達障がいがあっても働きやすく、その能力を十分に発揮できるでしょう。
● まとめ
ハリウッド俳優のトム・クルーズさんは読字障がいであることを公表しており、台本は他の人に読んでもらって覚えているそうです。周囲の人のサポートによって、あの偉大な俳優が生まれたのです。
発達障がいがあっても社会で活躍している人はたくさんいます。自分の特性を生かせる職業が見つかれば、大きなパフォーマンスを発揮することができます。
苦手なことよりも、得意なことを見つけて伸ばしてあげましょう。子どものうちに何に興味があるのか、何が得意なのか、その子の「可能性」を広げてあげましょう。もしかしたら、将来、とんでもない大物になるかもしれませんよ。