効果的な学習法~集中できないお子様へ~
こんにちは!スマイル先生です。
発達が気になる子どもたちやその子を支えるご家族の皆様の役に立つ情報をお届けします。
「勉強に集中できない」「授業中にじっとしていられない」ADHDの子によくある特性で、悩んでいる保護者さんも多いでしょう。しかし、好きなこと、興味のあることに対しては抜群の集中力を発揮するという面もあります。今回はこの特性を生かした効果的な学習方法をご紹介します。
● 授業前の関わりで集中力アップ
小学3年生の時に入塾したIくん。面談のときからじっと座っていることができず、教室内をウロウロしていました。授業中もなかなか集中できず、気が付いたら教室でかくれんぼ状態に・・・。
まず取り組んだのは、授業中に離席しないことです。そこで、授業の前に簡単なゲームをしたり、体を動かしたりして楽しく過ごしました。多動の子は「動きたい」という衝動を自分でコントロールするのが苦手です。ですから、先に体を動かしてその衝動を発散させてあげるのです。授業前に体を動かすことで、授業開始時はしばらく集中できるようになりました。
● 教材を工夫してやる気アップ
集中力が切れると離席してしまうのは、勉強がおもしろくないからです。そこで、Iくんが楽しく勉強できるように使用教材を工夫しました。文字だけの教材にはすぐ飽きてしまうため、漢字のプリントもパズルやクイズになっているものを選びました。
また、長時間集中するのが難しいため、10分程度で解き終わる短い課題を少しずつクリアしていきました。「今日は〇枚もできたね!」「次は〇枚できるようにしよう!」と、まるでゲームをクリアするような感覚です。「勉強=おもしろくないもの」から、「勉強=楽しいもの」という構図を作り出すのです。そのうち、「次はこれをやりたい!」と、自分からプリントを選ぶようになり、授業中の離席はほぼなくなりました。
● ゲーム感覚で計算力アップ
最も効果があったのが、計算プリントです。ただ解くだけではなく、毎回解き終わるまでのタイムを計るようにしました。100円ショップで売っているキッチンタイマーを使って、自分でスタートとストップを押してもらいます。タイムが縮まるたびに「次は〇分を切る!」とゲーム感覚でできるようになり、気がつけば計算力も集中力も上がっていました。
もともと好きなことに対しては抜群の集中力を発揮することができるため、こちらで準備していたプリントがなくなってしまうほどたくさんの計算プリントを実施する日もありました。
● 褒めることで自己肯定感アップ
できたことに対してしっかり褒めてあげることも大切です。宿題をしてきたこと、〇が増えたこと、字を丁寧に書けたこと、どんなに些細なことでも全力で褒めてあげるのです。ADHDの特性をもつ子は、その行動から叱られることが多く、自己肯定感が低くなりがちです。自己肯定感が低くなると、「どうせ自分はできないから」と、勉強に対する意欲も低下してしまいます。学校でも家でも叱られることが多かったIくんですが、塾では先生がしっかり褒めてくれるので楽しくなったそうです。
● まとめ
大切なのは、「できる」という成功体験を繰り返すことです。そして、できたことに対してしっかり褒めてあげることです。教材や関わり方のちょっとした工夫で、「勉強=楽しいもの」という構図ができれば、集中して勉強ができるようになります。
参照:田中康雄「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」