効果的な学習法~漢字編~
こんにちは!
スマイル先生です。
発達が気になる子どもたちやその子を支えるご家族の皆様の役に立つ情報をお届けします。
「うちの子、漢字が苦手で・・・」「何度言っても字を丁寧に書かないので困っています・・・」もしかすると、それは努力不足のせいではないかもしれません。今回は、漢字が苦手なTくんの事例を紹介します。
● 書くことが苦手
小学4年生だったTくんは、入塾時の学力診断テストで小2の漢字がすでに書けないことが分かりました。漢字の読み取りはそれなりにできていましたが、書き取りが極端に苦手でした。へんとつくりが逆になっていたり、鏡文字になっていたり、何より書くのが非常にゆっくりなことが気になりました。
学習障がいの1つに「書字障がい(ディスグラフィア)」というものがあります。文字を書くことが苦手で、黒板の板書ができなかったり、原稿用紙をうまく使えなかったりします。本人は一生懸命書いているのに、「もっと丁寧に書きなさい」と叱られることが多く、ますます書くことが嫌いになってしまうのです。
● 「褒める」ことで学習意欲が向上
Tくんは2年生の初めの方の漢字は書けていたため、2年生の漢字ドリルを初めから実施していきました。練習してきた漢字を授業の始めにテストする、という流れです。まずはたくさんの〇をもらうことで、「自分はできるんだ」という自信をつけるのです。
学習障がいの子どもは、学校の学習スピードについていけず、いつも勉強に対する劣等感を感じています。ですから、できる問題から解いて、できたことを褒めてあげることは、その子の成功体験を増やし、学習に対する意欲を取り戻すことにつながります。もともと苦手なことに挑戦しているのです。できないことよりもできたことをしっかり褒めてあげることが大切です。
こうして漢字に対する抵抗が少し和らいだのか、ゆっくりではありましたが、少しずつ書ける漢字が増えていきました。
● ノートや教材の工夫
ノートは字のバランスがとりやすいように、マス目の大きなものを使用しました。また、テキストで問題を見ながらノートに答えを書くという作業は難しい(黒板の文字をノートに書き写すのが困難なのと同じです)ため、テキストの問題をコピーしてノートに貼り付けるようにしました。高学年になると、テキストの文字も次第に小さくなっていきます。そのため、余計に読むことが困難になる場合があるので、少し拡大コピーしてあげることで問題が解きやすくなります。
● まとめ
漢字が覚えられない、丁寧に書けないということは、本人の努力不足であると誤解されがちですが、そうではない場合もあります。大切なことは「努力すればみんな同じようにできるようになる」という誤解を捨てることです。できないことを責めるのではなく、できたことをしっかり褒めてあげましょう。そうすることで、勉強に対する劣等感が消え、積極的に勉強してくれるようになります。
参照:田中康雄「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」